グリーンパル・カフェ Vol.11 report 
日時 2006年2月9日(木曜日) 19:00〜21:00
講師 中島恵理氏
題目 「コミュニティーガーデンから始まる環境、地域、人を元気にするまちづくり」
〜英国の事例から〜
■講演内容報告■

今回の講師は環境省水・大気環境局水環境課に現在勤務されている中島恵理さん。中島さんは人、自然、経済社会を元気にする取り組みはローカリゼーションから、つまり地域の中で地域資源を最大限に活用、循環させ、自立していくことが基礎となることを考えている。各ローカルでの取組、経験、知恵を交流・交差させていくことが重要であり、そういった取組を英国の事例を通して、日本におけるコミュニティーガーデンの可能性を説明していただいた。
コミュニティーガーデン・シティファーム
・コミュニティーガーデン→小さな野生植物を中心とした庭程度、果樹や野菜畑を有するもの、お店カフェや教室等の施設を持つもの。
・シティファーム→羊や牛などの家畜の動物を飼うことを中心とするもの。
「食」のライフサイクルを身近なものとすることを通じて、地域を支える健全な経済社会システムを作り出すものが「コミュニティーガーデン」であり「シティファーム」である。
イギリスにおけるコミュニティーガーデン・シティファーム
イギリスにおけるコミュニティーガーデン&シティファームは、地域の住民が中心となって、自主的な形で創造するものであり、中心は食物を育てる過程(農業等)を体験する場である。
イギリスは多くの地域住民のボランティアが中心となり、地域の会社、自治体、政府の支援を受けながら、手作りのシティファームが徐々に形成し、子ども達だけでなくあらゆる年代の人々に農業について学び、食物を生産することのできる機会を提供。安全で緑あふれるファームは、人々の健康回復と自身創出のための理想的な環境を提供し、人々が知識・技術を学ぶことができる。こういったファームを継続して管理する事により、あらゆる人がコミュニケーションをとれ、さらに地域の人がもっているモノ(物、技術、知恵)を地域の人に提供をすることで、リサイクルだけでなく、技術力・コミュニケーション能力が向上し、地域社会を元気にしてくれるのである。
コミュニティーガーデンによる持続可能な地域作りを支える鍵となるものは、
- 活動の過程での住民参加、住民の知恵、技術の活用
- 身の丈にあった技術の活用、地域資源の活用、ゆっくりとした成長
- コミュニティービジネスの活用
- 資源はローカルに、知恵と技術の活用
であり、そういった中でのイギリスのコミュニティーガーデンの意義とは
- 生産的、創造的、安全で高い質の提供
- 人々が新しい技術を学ぶ事の出来る機会の提供
- 障害者の訓練場所を提供
- 地域の結束(コミュニティ)、地域開発の実現
- 新鮮な食物の提供
である。

日本におけるコミュニティーガーデンの可能性
イギリスのコミュニティーガーデン・シティファームを実践するにあたり、日本におけるコミュニティーガーデンの可能性は3つの視点から見ることができる。
@環境的視点→都市域におけるオアシスの復元
地域内資源循環の拠点、環境に優しいライフスタイルの実践の場
A社会的視点→多様な人々の参加・コミュニティづくり
- 人々の心身な健康づくりの場、子どもたちの安全な遊び場
- 障害者・高齢者等の社会参加の場
- 受刑者・犯罪者の社会復帰の場
- 失業者の技術習得・雇用訓練の場
B経済的視点→地域の公益を追求する新しいビジネス
- 地域住民の雇用の場
- 地域内経済循環の活性
- 地場産業との連携の可能性
日本において持続可能な地域づくりに資するコミュニティーガーデンの実現のためにはまずコミュニティーガーデンに対する認知度の高さを向上させる必要がある。また政策的位置づけがなく、支援策が欠如している事から複数省庁間の連携が必要である。そして地域の実態に即して、地域の問題を解決するための手法としてのコミュニティーガーデンの事例が少なく、問題を抱えている主体と環境保全グループとの交流・連携が少ないため、自治体施策の位置づけが欠如しており、緑を創出、維持する事が難しい問題をなんとかしなくてはならない。
それを解決していくためには環境保全活動をしているひとたちだけでなく、地域団体、福祉、教育などに関わっている人、あらゆる人たちの協力によってコミュニティーガーデンの立ち上げが促進していくのである。
日本におけるコミュニティーガーデンの意義は次のようにあげられる。
環境の悪化、廃棄物の増大、地域経済衰退、農業の衰退、凶悪犯罪の増加、子供の非行、地域コミュニティの崩壊、地域文化の喪失などのあらゆる諸問題をコミュニティーガーデンを実践することにより解決への道につながる事である。
ディスカッション(質疑応答)
Q:コミュニティーガーデン等、やっている人はその良さがわかるがやっていない人はわからない。どのようにすれば良さをわかってもらえるか?またそのモチベーションを上げるには?
A:コミュニティーガーデンは農作業だけでなく、カフェ・ショップや研修施設などもある。各個人の関心にあうものについて参加・活用してもらうところから始めることが望ましい。その中で、様々な人との関わりにながら、楽しみを感じられる範囲内で参加がすすんでいくことが望ましい。
学校や空き地などの小さいレベルからできる事を提供する事で、一人や二人からやっていくと周りから自然と集まり、三人、四人と増える事によってモチベーションもあがる。
Q:ウインドミルヒルファームの物理的圏域(子供の遊び場、コミュニティーガーデンの広さ)はどこからどこまでをいうのか?
A:イギリスにおける圏域は数ヘクタールの大きいものから建物の端っこを使うような小さいものもある。コミュニティーガーデンの圏域は基本的には歩いていける範囲内であるが、参加が地域限定になっているわけではない。
一番大切なのは地域住民が楽しめること、またその熱意である。農作業から友達になる→ワイワイやる→おいしい物を食べる。こういった流れで人の輪を作っていくことが大事であり、楽しめる範囲内ですすめていくことが重要。
【感想】
初めてのグリーンパルカフェの参加しました。環境問題に関する知識がほとんどない私にとってグリーンパルカフェはとても新鮮なものでした。
今回のカフェを通して、感じた事は、コミュニティーガーデンをベースにした地域経済の活性化、コミュニケーションづくりは、今の日本、特に都市においてとても重要であるという点です。
ITの発達などによってコミュニケーション能力が希薄化している現代、今一度、原点に振り返るという意味で、自然と触れ合いを通してコミュニケーション能力を向上させるコミュニティーガーデンは、非常に大切であると感じました。また、コミュニティーガーデンは、人間が本来持っている心のゆとりや豊かさ取り戻せるの可能性を秘めていると思います。
その他にもコミュニティーガーデンは、現在、日本社会が抱えている複雑な問題を解決する能力を秘めていると思います。
今回のカフェでそういった事を学べ、また一つ良い経験ができ、講師をしてくれた中島さん始め、企画したNPObirthのスタッフ、カフェに参加してくれた皆様にとても感謝しております。
どうもありがとうございました。

報告者:NPO birthスタッフ 坂田 翔

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