グリーンパルについて 事業 グリーンパルの仲間たち プレス サイトマップ
最新
2005年度
2004年度
2003年度
2002年度
2001年度
グリーンパルカフェ
カフェ講演者リンク集



グリーンパル・カフェ Vol.1 活動報告

フォト・ジャーナリスト 大塚敦子氏講演会
「野菜が彼らを育てた−生きるヒントをくれるオーガニック・ガーデン」
〜サンフランシスコの犯罪多発地域での、人と地域再生の物語〜

大塚敦子さん 大塚さんの本
佐藤留美(birth)

日時    2003年7月19日(土) 18:30〜20:30
場所   東京ウィメンズプラザ視聴覚室 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67
参加人数   29人
内容   「自然や動物との絆」がもたらす癒しや、死と向きあう人の最後の生き方などをテーマに精力的に活動されている、フォトジャーナリストの大塚敦子さんをお迎えして講演会を開いた。
  
今回のテーマは、サンフランシスコ郡刑務所の受刑者と元受刑者に対し、オーガニックの野菜畑で園芸技術を教え、更正と職業訓練の両面で大きな役割を果たしている「ガーデン・プロジェクト」についてお話をしていただいた。

大塚さんはこの「ガーデン・プロジェクト」に約2年実際に作業を手伝いながら取材を重ねた。たくさんの写真を見せながら丁寧に説明していただき、視聴者たちもそのガーデンにいるかのような感じになった。元受刑者たちの笑顔の写真も心にじ〜んときた。大塚さんのお話から主なものを以下にとりあげたい。

このプロジェクトはキャサリン・スニードという一人の女性によって始められた。彼女は刑務所の元カウンセラーで一生懸命受刑者たちの相談に乗ってもまたすぐ逮捕されて戻ってくることに自分の無力さを感じていた。精神的にもすっかり疲れ果て、ネフローゼ症候群という重い腎臓病にかかり、医師からも見放された。そんな時スタインベックの「怒りの葡萄」を読み、絶望的な状況にある人間でも、大地とのつながりをもつことで生きていけるという希望がわいた。庭や畑で働いた経験はなかったが、サンフランシスコ刑務所はもともと農場だった土地にあることからそこに畑を作って、受刑者たちと一緒に野菜を育てようと決心する。少しずつ少しずつ植えた野菜が育つように、受刑者たちも変わってきた。自分の人生に意味のあるものを見つけた彼らは喜んで出てきて働くようになった。2年後、キャサリンの病気は寛解。病気が治ったのは「大地の力」のおかげと彼女は信じている。「庭は単に花や野菜を育てるだけでなく、人をも育てるのです。」と彼女は語る。

アメリカではハロウィーンは一大行事だ。ハロウィーンの時期には、サンフランシスコ市内の小・中・高校からガーデンプロジェクトにカボチャの注文が入る。よって、秋のガーデンプロジェクトはカボチャの収穫に追われ、 多忙をきわめる。力を入れる理由はハロウィーンが元受刑者と現職の警察官が協力しあうシンボリックな行事と なっているからである。双方が協力し合ってカボチャを一緒に学校に配り、受け取りにくる子供たちに笑顔でカボチャを手渡す。ふだんは敵対し合う関係にある両者のそんな姿が、子供たちにもたらす教育効果は抜群だという。 ガーデンプロジェクトは地域の人たちと警察の間の橋渡しもしている。

ガーデンプロジェクトの作業内容の中には畑仕事と直接関係のない、コミュニティ・サービス(社会奉仕)のようなものもたくさんあり、その一つが警察署の敷地の掃除と花を育てることを含めた庭の管理である。育てた花を警察署に届けることによりお互いを人間として認め合うようになる。花を育てて届ける人間を頭から悪人扱いする人はいないし、麻薬の代わりに花を運ぶほうがどんなにいいか学ぶこともできる。

このプロジェクトのすばらしさは更に地域のコミュニティの再生をめざしていることである。罪を犯す人たちも、自分がコミュニティの一員だという意識を持てれば、他人を傷つけたりしない。活動の中で犯罪多発地域への野菜配達がある。届ける先は約10ヶ所で、ホームレスの人々のためのシェルター、低所得のエイズ患者に炊き出しをしているグループ、高齢者の施設など切実に食べ物を必要としているところだ。野菜は全て無償。無償にこだわる理由は「人は生きるためには与えなければならないから」。更にキャサリンはこう説明した。「自分たちが汗水流して育てたものを、あげる、という行為は、自分の一部を人に与えるようなもの。それによって彼らは、自分にも社会に何かを還元できることを知る。それは自分自身に誇りを持つことにつながり、やがては他人を思いやることにもつながっていくのね。」

ガーデンプロジェクトのような活動にかかわることでコミュニティの困っている人々を助ける立場に立つことにより自尊心が芽生え、「ありがとう」と言われることで生きている喜びを知る。これは本当にすばらしいことだと大塚さんは語ってくれた。


【ガーデン・プロジェクト】

1982年、サンフランシスコ・カウンティ刑務所の園芸プログラムとして始まった。設立者は当時刑務所のカウンセラーであったキャサリーン・スニ−ド(Cathrine Sneed)氏。団体の目的は、ガーデニング及び木の手入れに関する職業訓練等を通して、元受刑者に対する支援を提供すること。米国には、刑務所に拘束中または、仮釈放、執行猶予中の者が6百万近くある。そして、その大部分(カリフォルニア州では2/3)が、一旦釈放されても、再び刑務所に戻ってきてしまうという。しかし、本プロジェクトの参加者の75%が、再び刑務所に戻ることなく生活している。

アンケート集計結果
(回収数:18票)

1.今回の講演はいかがでしたか?

  (1)面白かった 17人  (2)普通 1人  (3)つまらなかった 0人

2.全体の雰囲気はいかがでしたか?

  (1)良かった 17人  (2)普通 0人  (3)良くなかった 0人  *無記名 1人

3.本日の講演会で、印象に残った点がありましたら、お書きください。
(以下より抜粋 されたもの)

○大塚さんがおだやかに的確に話されている姿が印象的でした。オーガニック栽培にかかわることで麻薬をつかわなくても生きていけると感じられたという話が印象的でした。同様に日常に用いる薬(のみ薬など)も常用し続けることに警鐘を鳴らした方がよいと思えてならなかった。なぜなら、本来の治癒力が衰えてしまうと思うからである。痛みはとり除きたいと思うから、薬でおさえたりすることも大事だと思うけれど、よくよく考えてみたいもの・・・。本日の講演は大変興味深いものでした。ありがとう!!
○「ちゃんとした食べものを食べることが大切」
 土に触れること自体はリハビリになると思うけれど、それをつぶす要因も世の中にはたくさんあって、それを支えている人たち・ものがなくては続いていかないと感じた。受け入れる側、社会がしっかりしていないといけないと思った。
○ 多くの団体と繋がってそのプログラムが支えられていることにとても感動した。“良いこと”が繋がってお金も精神的・身体的な満足も生み出す“環境活動”とは一口に言えないプログラムがあるのだなアと思った。
○米国社会の中にはrehabilitationの考え方が(州によって程度は異なるにせよ)根づいているというのは同感です。日本人は一般的なchallengeすべきフロンティアを自らせばめており、敗者復活戦にいたっては社会システムがたいへん未熟だと思います。
○オーガニックであることが私達に、おいしい・安心だけでなく、人の心を育て豊かにさせるということに感動しました。薬を使わない、時間も手間もかかることが重要なのですね。
○貧困層の人たちの食生活の悪さを改善しようとする展開の広がり
○オーガニック野菜を育てることが、人間も無用な薬に頼らずに生きようという決意につながるというお話になるほどと思いました。
○「与える」ことが大切。野菜の行き先:システムがある。人の力も大きいかな。→野菜をつくること自体がリハビリというより、社会の一員として役割があることで力を得ているのか。農薬を使わないで育てる→麻薬に頼らずに生きていく。
○たくさん実際の話がきけたこと、うまくいった点といかなかった点など
○ハローウィンのカボチャのお話が印象に残りました。ただ野菜をつくるだけでなく、野菜を通して人との関係を作る点が他の更正プログラムとの大きな違いだと思います。
○オーガニック・ガーデンプロジェクトを通して受刑者と社会がつながりを持ち、無償で他人に与えることの大切さを知ることができるということに感動しました。そのような事は、なかなか気がつけることではないと思います。また個人がプロジェクトを通して、自己と自己のコミュニケーションという人生のテーマに受刑者が気づき、成長をしていく姿が素晴らしいと思いました。スライドの写真の人物の表情が明るい事も印象的でした。
○ガーデニングの中に人生を考えるヒントがたくさんあることに感銘を受けました。
○“野菜づくりの中には、いろいろなメタファーがある”というのに興味をもちました。そのいろいろは一つ一つ述べられませんが、世間であまり言われない(評価されない、認識されない)ことに意味があると思います。

4.海外の環境活動の視察交流ツアーにご関心がありますか?

 (1)ある 12人  (2)ない 3人  *中間 1人  *無記名 2人 
 
そのようなツアーの内容について、ご意見・ご要望があれば、お書きください。
○ガーデンプロジェクトなどNPO活動
○エコツアー、環境先進国への視察
○国内の団体・人とのネットワークづくりもできるようなツアーに是非参加したい。帰国後国内でも活動を続けられるように。
○あまりNPO活動をよく知らないので、現場を見てみたいです。

5.グリーンパル・カフェ(セミナー)で、今後開催したほしい内容・テーマなどがありましたら、お書きください。

○長期間、途上国などでの生活経験がある方の体験談、例えば青年海外協力隊、国連関係者・・・
○「シックハウスを防止するライフスタイル」というようなテーマもかんがえられるでしょうか。
○大塚さんのようなステキなゲストを招いて、トークセッションもあるのもとてもいいと思います。テーマはグリーンの人やグリーン中心に関すること。
○日本での市民生活と農業が関わっているような話。
○農業関係。
○都会のどまん中に作るコミュニティガーデンについての可能性を知りたい
○里山関係、アサザプロジェクト

6.その他、ご感想・ご意見などご自由にお書きください。(裏面も使用できます)

○雰囲気のいい講演会だと思いました。すてきな講演会をありがとうございました。←内容もおもしろかったです。
○特殊なケースではなく、もっと広がればよいのだけれど、むずかしいだろう。
○大塚さんの貴重な体験を聞く機会があったこと、参加できたことをうれしく思います。
○ アットホームな雰囲気がとても良かったです。都合が合えば是非次回以降お手伝いさせて下さい。
○今回、初めてグリーンパルや米国のオーガニック・ガーデンプロジェクトの存在を知りました。普段の生活では、なかなか目を向けられない事を、考えられるよい期会となりました。ありがとうございました。
○若者が中心になって渋谷の一画にコミュニティガーデンをつくってみたい!それが今の私の夢です。またいろいろツアーなど参加したいです。
○ 講演会ということで、一方的なお話かと思いましたが、ディスカッション(Q&A)の時間があって良かっと思います。
○Q&Aの時間が多くとられている点がよかった。いろんな人の質問で内容がさらに深まったと思います。