グリーンパル・カフェ
Vol.4 活動報告 
「人と人とを結びつけるコミュニティ・ガーデンを都市開発から守る」
〜アメリカ・ワシントン州タコマ市のNPOランド・トラストの試み〜
| 日時: |
2004年1月20日(火) 19:00-21:00 |
| 講師: |
大塚敦子氏(フォトジャーナリスト) |
| 参加人数: |
45人 |
| 内容: |
まとめ by東京農工大学 矢島 万理さん
「人はみな自然とつながり、人とつながり、生かされて生きている」という大塚さんの言葉に始まり、スライドを見ながらの報告であった。アメリカのタコマ市には「グアダルーペ・ガーデンズ」という7つのコミュニティ・ガーデンがある。この地域はかつて寂れたところで、麻薬や事件などの問題を抱えていた。このような状況を改善するために、1992年カソリック・ワーカーズという団体がゴミ捨て場となっていた空地を片づけ、庭をつくる試みを開始した。グアダルーペ・ガーデンズでは、「オーガニック」・「持続可能」・「地域再生」を柱にサポーターを募集し、地道な基礎づくりを行った。そして1996年には、CSA(Community
Supported Agriculture)という日本の生協のようなシステムを取り入れ、この庭で作られたオーガニックの野菜を売り、顧客を最高50人確保するまでに成長した。このシステムは採れた野菜を宅配するのではなく、顧客が自ら畑に足を運ぶことで、人と人をつなげることができるのだ。
ここで働くホームレスの人々は、オーガニックの野菜を育て、庭と向き合うことで自分の居場所を見出すことができ、また麻薬に頼らない自分を確立させることができるという。そして自然と自分が“つながる”ことや、人と人が“つながる”ことを作業を通じて得られたのだ。
ところが近年、人口の増加に伴う住宅開発が進み、2000年に不在地主が一つの庭を売却し、駐車場にしてしまった。これを契機に、庭に関わる人々が保全へと動き出し、NPO「ランド・トラスト」を設立する。そのような中、一番大きな庭が売られる危機に直面するが、高額であったため買い取ることは困難であった。そこで日ごろから信頼関係を築いていた、タコマ市のネイバーフード・カウンシルによる助言のもと、低所得者の住宅を建てたいというNPOとタイアップすることで、市からの助成金を獲得できた。ネイバーフード・カウンシルは、タコマ市の経済開発部門に属し、地元住民の声を聞いて市との橋渡しをする機関である。日本においてこういった問題が起きると、まず行政に買ってもらい、市民はそれを借りるという形態で活動することが多いが、アメリカでは市民レベルの活動が盛んなこともあり、市は助成金を出しても買い取るのは市民であり、その後の維持管理も市民が行うことが多いようだ。
今回のお話で、庭がもたらしたものとして繰り返しあげられていたのは、多くの人が集まり、つながることによって地域の再生が図られたということである。人の心に、緑やオーガニックというものがどのようにはたらきかけているのか改めて考えさせられた。この事例をきっかけに、日本においてもまずは庭や緑に対する可能性について市民が知ること、そして地域の再生にどのように応用していくか等考えていかなければならないだろう。また緑を守るために、他分野のNPOとパートナーシップを組むということは新たな発見であった。そういったアドバイスをする、ネイバーフード・カウンシルのような行政と市民のコーディネーターを担う機関は、今日の日本においても積極的に開拓していく必要があろう。
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アンケート集計結果 (回収数:28票)
20代・7人 30代・9人 40代・5人 50代・2人 60代・3人
女性・12人 男性・15人
※回収数と人数が合わないのは記入がないため
1. 今回のグリーンパル・カフェはいかがでしたか?
1)面白かった:26
2)普通:1
3)つまらなかった:0
無回答 :1 2. 全体の雰囲気はいかがでしたか?
1)良かった:26
2)普通:1
3)良くなかった:0
無回答 :1
3. 本日、印象に残った点がありましたら、お書きください。(以下より抜粋されたもの)
・ ネーバーフードカウンシルの橋渡し役をしている点が興味深かった。コミュニティーガーデンの価値「何かとつながることができる」という言葉が印象的でした。
・ コミュニティーガーデンという言葉を初めて知り、非常に心を動かされた。ホームレス支援活動等を行っている自身にとって、更正施設としてのNPOのあり方を学び、新たな見識が芽生えた。大自然の偉大さは人知を超えた所にある気がした。
・ 大塚さんの丁寧な取材に基づいた1つのプロジェクトのお話しだったので、そこにいる人間達の顔や息づかいが伝わってきた。やはり原点は人でありそこに集積される「想い」がシステムを動かしてゆくのだなぁ〜って思いました。
・ 資金作りに寄付が大きな比重を占めており、そういうことの出来る環境が素晴らしい。ひるがえって今回の話を聞いて、日本の状況を知りたくなった。
・ コミュニティーガーデンがもたらしたメンタルな部分の効果が非常に印象的だった。一つの団体の設立の背景から危機感をもった問題、そしてその解決方法まで、わかりやすく熱心に聞入ることができた。
・ 野菜づくりが、人々が思う以上に人々の心に影響を与えるということが印象的でした。
・ 庭の可能性やっぱりあるのか。人とのつながり大切にしたい。
・ どうもアメリカは遠いところと思ってしまうのですが、緑の保全と福祉が結びつくということが、実は必然的なのだと思い勇気付けられました。また機会があればゆっくりとお話ししたいと思いました。
・ 日本と違い、自由に土地を利用できるアメリカの事情に驚きました。
・ 犯罪者やホームレスの方々が畑を行ない、すごんだ街がよいものになていったということ。写真を見る中で伝わってきました。印象的でした。
・ 写真を使った説明がとてもわかりやすく、コミュニティーガーデンに興味を持ちました。大学が農大なのでもっと掘り下げて勉強したいと思います。
・ 何も前知識なく来たもので、初めて聞く内容ばかりではありましたが、非常にどの話も興味深く聞かせて頂きました。交流しかり、人間に必要な温もりの循環、もう少し勉強してみたい事がたくさんありました。
・ (NPOの在り方について)人間らしさ取り戻すのに、緑が役立つ。普段意識していない部分を違った視点で感じることができた。自然の力強さ、人間の弱さを感じる時間でした!
・ Photo Journalistとして様々な切り口で活躍されてらっしゃる大塚さんのお話は非常に温かかったです。
・ 講演者の方が、題材にとても入り込んで取材をしているというところが伝わってきました。ひとつひとつの質問にも丁寧に答えて、また正直に知らないことは知らないとおっしゃっていた所が、また信頼性を感じさせました。アメリカを中心に活動していらっしゃるということですが、ぜひ国内のことも取り上げてほしいです。
・ 庭が人と人をつなぐ。
・ タコマ市の活動?すごいです。日本の行政も学んでほしい。
・ 緑を守る、という営みが、単なる環境問題だけではない、さまざまな可能性につながることなのだということを改めて実感しました。また、行政と市民との間をつなぐシステムなども興味深くうかがいました。日本ではそれがすぐ管理的なものになってしまいそうですが…。
・ ハイジさんの事例。植物を育てることで人の心を立ち直すことができるということ。「薬を使わない野菜が健康にすくすく育つ様子を見るのはまるで自分が麻薬から開放されていくのを見るようだった。」
・ 大塚さん、素敵ですねー。国内の動きも大塚さんの視点で取材して下さったらいいなーと思います。
・ 全ての話題において、庭をはじめ土地を利用した場合の行政との関わりが大変興味深かったです。
・ 大塚さんの話された内容は、社会・環境・人間はたまた地球全体に関わる全ての部分の凝縮でした。これをきっかけに考える事、気づく事も多々あり大変興味深かったです。
・ 大塚さんの熱い思いが伝わってきて感動しました。
・ 大変興味深い報告でした。よく調査されているのに感心しました。質疑応答は丸く囲んでやるともっといいと思います。
4−1.今後、このようなカフェを開催してほしいですか?
1)開催してほしい:27
2)開催してほしくない:0
3)わからない:0
無回答 :1
4−2.どのような内容を取り上げてほしいですか?
・ 同じテーマを続けて下さい。
・ 毎日の生活にみどりを活かしている都会人
・ 都市よりはどちらかというと田舎の方の環境保全について。もちろん都市のことも知りたいのですが。
・ アジアにも目を向けてほしい
・ 今回のような、そこに関わっている「人間」にスポットライトを当てられる方の講演
・ 田舎物件情報(超格安)
・ 国内での取り組み
・ 哲学を専攻する自身の為、環境倫理等に興味があり、ディープエコロジーの現在の動きなどを取り上げてもらいたい。
・ 食糧問題。農業問題。グリーンツーリズム
・ 日本の地域に根付いた農業、環境保全型農業
・ 「神虫」の話をしている方の話がききたい。
・ 食と健康という点で「ロウフーズ」を知りたい。
・ 海外でプチ農業
・ 本日の話題のその後(何年か後になるとは思いますが…)
・ 緑と音楽の関係。サウンドスケープについて活動している団体がありましたら、その方の話が聞きたいです。
・ 「食」について
・ 福祉(障害者・高齢者)と癒しをテーマに緑・自然との関係を話し合いましょう!
5−1.海外の環境活動の視察交流ツアーにご関心がありますか?
1)ある: 15
2)ない: 1
3)わからない: 9
無回答 :3
5−2.そのようなツアーの内容について、ご意見・ご要望があれば、お書きください。
・ アジアを見に行きたい
・ 農業や生態学の視点からのもの
・ キューバの有機農業
・ 実際にボランティアをできるものがしてみたい
・ 今回のカフェ内容のような人と緑のつながりがテーマが良いかと思います。
・ アジアのムーブメント
6.その他、ご感想・ご意見などご自由にお書きください。
(ア) 今後、都市に緑を復活させるために様々な切り口からメッセージを送ってください。
(イ) 若い人が多くてびっくり。私の所も14平のタンボをやっていますがむずかしい。
(ウ) 参加している方々がみなさん熱意を持っていたので非常に中身の濃い内容になったと思います。またそれぞれの質問に適格に回答できる大塚さんの力量に改めて感動しました。主催者のみなさんありがとうございました。
(エ) JPRNの体験ツアーで、コミュニティガーデンでボランティアをしたことがあります。その時には、設立過程しか聞けず、どのような効果があるかわからなかったが、今回のお話を聞いて、コミュニティガーデンの力を実感できた。
(オ) 庭にある可能性、緑によってできる何かに興味があり、ここへ来ました。行政の仕組みが全く違う日本とアメリカについて聞き、比較考察のきっかけを得ることができました。
(カ) 初参加させていただきました。次回も楽しみにしています!
(キ) 参加者のワークショップによる問題解決(提起)プログラムができたら面白いと思います。
(ク) 学生生活の傍ら、野外教育などにも携わる自身、本講演にて生徒たちに伝えるべきメッセージを見出すきっかけをいただいたように思える。
(ケ) 開発された国では緑を守ったり取り戻そうとしているが、途上国ではまだその価値に気付いていないのでは…
(コ) とても楽しかったです。ありがとうこざいました。
(サ) よかったです。楽しかった。私にとって未知の世界でした。
(シ) このような会に久しぶりに参加しました。今回、普段あまり考えないテーマについて考えるきっかけを頂きました。ありがとうございました。
(ス) 非常に楽しい話を聴く事ができました。本も是非読みたいと思う。

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